母、スパナ?で殴られる 蟹江親子殺害 洗面台には包丁

2009年5月5日 読売新聞  中部発

山田喜保子さんと雅樹さんの遺体が見つかった自宅を調べる捜査員(4日午前11時12分、愛知県蟹江町で)=増田知基撮影







 愛知県蟹江町蟹江本町の民家で、この家に住む会社員山田喜保子さん(57)と次男のケーキ店店員雅樹さん(26)が殺害された事件で、喜保子さんは、頭や顔を鈍器のようなもので執拗に殴られていたことが、4日わかった。室内から鉄製スパナが見つかっており、県警特捜本部は傷口と一致するか鑑定を進めるとともに、犯人が強い殺意を持っていたとみて、喜保子さんらの周辺にトラブルがなかったか調べている。また、雅樹さんを刺したとみられる柄の外れた包丁も山田さん方の洗面台で見つかった。

 司法解剖の結果、喜保子さんの死因は、頭部を鈍器で殴られたことによる外傷性脳障害と判明。頭蓋骨が割れるほど何度も殴られ、両腕には抵抗した際にできた打撲痕があったほか、首にひものようなもので絞められた跡もあった。当初、刺し傷とみられていた背中の傷は、鈍器による擦過傷などだった。

 また、洗面台で見つかった包丁は、刃が柄から外れた状態で、刃の部分は水を張った洗面台に浸され、柄は蛇口の近くに置かれていた。水道水は出しっぱなしで、血を洗い流したとみられている。包丁は強い衝撃で刃の根元から外れており、犯人が手などにけがをしている可能性もあるとみて、特捜本部は指紋やDNAの鑑定を進める。

 一方、三男で会社員の勲さん(25)が特捜本部にした説明によると、1日午後9時半頃から2日午前2時頃まで名古屋市内で友人と飲酒し、タクシーで帰宅。玄関で後方から男に首を刺された後、両手を電気コードで何重にも巻かれたほか、顔も粘着テープで巻かれ、2人の遺体が見つかった1階和室に寝かされたという。

 勲さんは「男の顔を一瞬見た」と話しているが、もみ合った際に意識を失ったため、男の特徴や服装などははっきり覚えていないという。男が金を要求した際の口調については、「外国人のようなイントネーションだった」と話しているという。

 現場検証の結果、室内には3人の名義の通帳と、現金の入った財布三つが残されていたほか、血の付いた複数の衣類も見つかった。特捜本部は返り血を浴びた犯人の衣類も含まれている可能性もあるとみている。


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