「捜査上の秘密と判断」 若い男目撃の公表遅れ、蟹江殺傷で

2009年5月9日 中日新聞 朝刊

 山田さん方での殺傷事件発覚時、犯人とみられる若い男を蟹江署員が目撃しながら同署特捜本部が公表を控えていた問題で、特捜本部幹部は8日、報道関係者に経緯を説明した。公表しなかった理由は「捜査上の秘密と判断した」と、述べるにとどまった。

 大橋哲生蟹江署長と立岩智博捜査一課長が同署で説明。「捜査上答えられない」と根拠は示さなかったが、男が逃げたことによる地元住民への2次被害はないと判断。署員が記憶する特徴がわずかで、住民からの情報提供は見込めないと、公表を見送ったという。

 山田さん方の近くに住む男性(62)は「すぐ公表していれば、近所から目撃情報が集まったのでは。犯罪の解決には住民の協力が必要なのに…」と話す。

 一方、喜保子さんの遺体を発見したのは事件発覚の翌日。「当初は(勲さんによる)2人死亡(の話)が確かなのか(どうか)と思った」と釈明するが、ある県警関係者は「室内の状況などから、2人が殺害された可能性は極めて高い。なぜ徹底的に捜さなかったのか」と首をかしげる。


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