洗濯機に血ついた衣服 蟹江強殺

2009年5月7日 中日新聞 夕刊




告別式後、斎場を出る2人のひつぎを乗せた車=6日午後、愛知県蟹江町で


 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)と、次男で洋菓子店員雅樹さん(26)が自宅で殺された強盗殺人事件で、山田さん方の洗濯機に血が付いた衣服が入れられていたことが、蟹江署特別捜査本部への取材で分かった。風呂場の水を張った浴槽からも、血が付着した毛布やタオルが見つかった。犯人は雅樹さんを包丁で刺した際などにけがをしたとみられ、特捜本部は、犯人が自分の血や被害者の血を室内でぬぐい、証拠隠滅や現場の偽装を図った可能性があるとみている。

 特捜本部の現場検証で、新たに血の付いた衣服が、洗濯機内で見つかった。既に水洗いされた衣類の上にあり、山田さんの家族が洗濯機を使った後、犯人が投入したとみられる。洗面所にも血が付着した男女の衣服が複数あった。いずれも誰のものか分かっていない。

 また、浴槽の毛布などは血を洗い流した形跡があり、水はピンク色に染まっていた。2人の遺体が発見された和室と廊下を挟んで向かい合う居間には血痕をぬぐった跡があった。



 特捜本部によると、雅樹さん殺害の凶器とみられる包丁は刃が柄から外れており、犯人が激しく刺すうちに自らも手をけがした可能性が高い。さらに負傷した三男の会社員勲さん(25)は事情聴取に、2日午前2時半ごろの帰宅時に犯人に襲われた状況について「もみ合ううちに包丁を奪って振り回し、それが犯人に当たったかもしれない」と証言している。喜保子さん殺害に使ったとみられるモンキーレンチは玄関近くの廊下で見つかっている。

 特捜本部は採取した血痕の鑑定を進め、犯人の衣服が残っていないか調べている。

 一方、喜保子さんが1日午後9時ごろ、自宅の電話で友人と話していたことが、捜査関係者らへの取材で判明した。勲さんは、同日午後8時ごろの外出時に喜保子さんは自宅にいたと説明している。

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 亡くなった喜保子さんと雅樹さんの葬儀は6日午後、蟹江町内の斎場で密葬で営まれ、参列者が2人との最後の別れを惜しんだ。

 けがをして入院中の勲さんをはじめ、親族らごく親しい知人が参列。出棺の際には、ハンカチで口を押さえ、涙で2人の遺体を乗せた車を見送る人の姿もあった。

 別居している長男(31)は取材に「警察にお任せしています」と話した。


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