2009年5月16日 中日新聞 朝刊
犯人の遺留品とみられる、右腹部に穴が開いた上着=15日、愛知県警蟹江署で
愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で家族3人が殺傷された事件で、蟹江署特別捜査本部は15日、犯人が室内に残していった灰色のパーカを公開した。汚れやにおいがひどいことから、特捜本部は、犯人の男は事件当時に屋外生活を送っていたとの見方を強め、パーカに汗や血痕が付着していないか鑑定を進めている。
また、右脇腹部分には長さ5センチほどの裂け目があった。特捜本部は、3人を襲った際に犯人もけがをした可能性があるとみている。
パーカは男性用LLサイズで、胸の部分に「WHO involves」と印刷されている。玄関付近で畳まれた状態で発見され、全体がぬれていた。山田さん家族の関係者が「見覚えがない」と話したため、犯人の遺留品と判断した。
特捜本部によると、パーカは名古屋市中村区の業者が10代後半から20代前半の若者向けに、中国で製造。2003年末から04年初めにかけ全国の商業施設で1000円前後で販売され、中部地方では82店舗が扱った。犯人のパーカと同じサイズと色のものは450着超が流通したが、流通ルートの解明は困難という。
首や肩の部分が黄ばむなど汚れが目立ち、すえたにおいを放っていた。特捜本部は犯人像について、事件当時は屋外で生活することが多かった男の可能性が高いと判断、犯人がパーカを洗って付着した被害者や自分の血を落とした可能性があるとみている。
一方、捜査関係者によると、1階廊下に置かれていた椀(わん)に付いた唾液(だえき)から犯人のものとみられるDNAが検出され、犯歴者のDNA型を登録したデータベースで照会したが、今のところ合致する型はないという。特捜本部への情報提供はフリーダイヤル(0120)011076へ。
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