財布と通帳奪わず 洗面台に包丁 愛知・強盗殺人

2009年5月5日4時27分 朝日新聞 asahi.com








 愛知県蟹江町の会社員山田喜保子さん(57)方で、喜保子さんと次男(26)が殺害され、三男(25)がけがをした強盗殺人事件で、自宅のものとみられる包丁が殺害に使われ、洗面所に残されていたことが4日、県警特別捜査本部への取材でわかった。特捜本部は、それぞれ3人分の通帳と財布が室内で見つかったと発表。金銭目的とともに、家族に対する恨みによる犯行の可能性も視野に、犯人像の絞り込みを急いでいる。

 4日の司法解剖では、事件発覚翌日の3日に自宅1階和室の押し入れから見つかった喜保子さんの死因が、頭を鈍器で複数回強打されたことによる外傷性脳障害だったこともわかった。背中にあった刺されたような傷は鈍器による擦り傷で、後頭部などを繰り返し殴った際にできたとみられる。首にひも状のもので絞められたことを示す跡も残っていたという。

 発表によると、通帳はそれぞれ喜保子さん、次男のケーキ店店員雅樹さん、三男の会社員勲さんの名義で、財布も3人のものと確認した。複数の財布に現金が残されていたという。勲さんが襲われたという玄関では、勲さんの財布と1万円札が裸の状態で落ちていたのが見つかっている。

 捜査関係者によると、自宅台所にはふだん、包丁数本があったが、事件後、1本がなくなっていた。一方、洗面所の包丁は洗面台にあり、血を洗ったような跡が残っていた。刃の形状が雅樹さんが負った傷の形と対応していることから、特捜本部は雅樹さん殺害に使われた凶器と判断した。

 勲さんは特捜本部の事情聴取に対して、「犯人に襲われた際、口を粘着テープでふさがれた」と話しているという。テープは意識を回復した際に自力で外したと説明しており、室内の現場検証でもテープは見つかった。血のついた衣類も室内に散乱しており、特捜本部は殺害された喜保子さんや雅樹さんらの衣類なのか、犯人が犯行後に脱ぎ捨てたものなのか、調べている。
 勲さんは1日午後7時50分ごろまで勤め先の清涼飲料関係会社で仕事をして、同8時ごろに帰宅。服を着替えて友人との飲食に出かけ、2日午前2時過ぎまで飲んだ後、同2時半ごろ帰宅。玄関で靴を脱いでいたときに、男に背後から襲われた。たくし上げられた上着をかぶせられ、電気コードのようなもので手首を緊縛されたという。

 喜保子さん、雅樹さん、勲さんは3人暮らし。事件は、雅樹さんが2日朝に出勤しないことから、同日正午前、店長が「店に出てこない」と蟹江署の交番に届け出て発覚。店長と警察官が自宅に駆けつけた際は玄関が施錠されており、勲さんが中から鍵を開けて、警察官が首を刺された勲さんの体の前に巻かれていた手首のコードをほどいた。雅樹さんは1階和室の布団のうえで背中を刺されて死亡していた。玄関の鍵は、自宅敷地内の玄関先から見つかった。

 喜保子さんは1日夜から翌日にかけて殺害されたとみられる。喜保子さんの遺体発見が3日になったことについて、特捜本部は「犯人の遺留品の証拠収集に神経を使い、優先したため」と説明している。


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