2009年5月15日 読売新聞 中部発
愛知県蟹江町の親子3人殺傷事件で、殺害された山田喜保子さん(57)方から、犯人の特定につながる可能性のあるDNA型が検出されていることが14日、わかった。現場からは、血液をふき取ったとみられる凶器や、血を洗い流した衣類が発見されており、犯人は現場に長時間、居座って証拠隠滅を図っていたとみられているが、県警特捜本部は、DNA型の検出が重要な手がかりになるとみて、詳しい鑑定を進めている。
特捜本部はこれまで、三男で会社員の勲さん(25)が犯人の男ともみ合った玄関付近や、大量の血痕がふき取られた跡のある玄関脇の居間、次男でケーキ店店員の雅樹さん(26)の遺体が見つかった和室などを詳細に現場検証し、血痕や毛髪などの資料を採取した。
さらに、喜保子さんら3人の殺傷に使われたとみられる鉄製スパナや、柄の折れた包丁、小刀のほか、洗濯機や水の張った浴槽の中にあった衣類などについてもDNA鑑定を進めてきた。
この結果、現場に残された血液などから喜保子さんら家族以外のDNA型の検出に成功。特捜本部は、さらに詳しく調べるとともに、過去の犯罪現場に残されたDNA型などを登録したデータベースを活用し、照合作業を急いでいる。
一方、勲さんの靴の片方が、1階の浴槽内で見つかっていたこともわかった。勲さんが帰宅した際にはいていた靴とみられ、もう片方は玄関に残されていた。
勲さんは帰宅した時の状況について、「犯人の男ともみ合いになり、刃物を一度取り上げた。刃物が犯人の足に当たったかもしれない」と説明していることから、特捜本部は、犯人が、勲さんの靴についた自分の血を洗う目的だった可能性もあるとみている。
現場からは、勲さんのスニーカー1足がなくなっており、犯人がはいて逃げたとみられている。
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